法文化叢書―歴史・比較・情報

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第15巻 身分−法における垂直関係と、水平関係

中野雅紀 編
身分:法における垂直関係と水平関係(中野雅紀) / 第1章 近世自然法論における家族身分の平等化: 親権の内容と帰属に関する議論を中心として(出雲孝) / 第2章 平等理念と身分: 政治と法の相克(木原淳) / 第3章 スウェーデン航海法構想をめぐる「諸身分」の関係: スウェーデン王国議会商務代表団の活動を中心に(齊藤豪大) / 第4章 改革直前期のプロイセン将校団: “年功序列制"の実態(大藤慎司) / 第5章 国際裁判における少数者に対する文化的考慮: 米州人権裁判所判例モアワナ共同体事件を中心に(高崎理子) / 第6章 近世の百姓身分と捺印(千葉真由美) / 第7章 「市民」という「身分」について(中野雅紀) / 国際書院
2017年12月
(3600円 + 税)
「身分」をいま法学において問い直すことは重要である。民法における「親族・相続」、刑法の「身分犯」、憲法における「国家」と「社会」の分離の問題など課題は多い。

第14巻 再帰する法文化

岩谷十郎 編
再帰する法文化(岩谷十郎) / 第1章 近世ロンドンの高等海事裁判所の活動 ――ジェンティーリ『スペイン擁護論』を素材に(周圓) / 第2章 近代東アジア比較法史の枠組みについての一試論(西田真之) / 第3章 「近代国家成立において『中間団体』として消去されたstatus familiaeの復活可能性」について(中野雅紀) / 第4章 人足寄場をめぐる言説空間(児玉圭司) / 第5章 平野義太郎「大アジア主義」の成立 ――変転する「科学」と「日本」(坂井大輔) / 第6章 「日本法理」における固有と普遍 ――変転する「科学」と「日本」(出口雄一) / 第7章 ある「法文化」の生成 ――誰が裁判嫌いの「神話」を生んだのか(高橋裕) / 国際書院
2016年11月
(3600円 + 税)
古来より地域や国境を越えて伝播してゆく「普遍」としての法。その一方で、国家や社会をその文化的価値において統合する「固有」としての法。双方の対立と親和を通して紡がれる法のアイデンティティーの「再帰的」性格を深く掘り下げる。

第13巻 貨幣と通貨の法文化

林康史 編
貨幣と通貨の法文化の諸相(林康史) / 第1章 仮想通貨と法的規制 ――ビットコインは通貨革命の旗手足りうるか(畠山久志) / 第2章 価値尺度と租税法(浅妻章如) / 第3章 共通通貨ユーロの法と文化 ――ゲルマン文化の優位と問題点(田中素香) / 第4章 ドイツにおける通貨偽造罪について(友田博之) / 第5章 エクアドルの通貨制度 ――ドル化政策の社会的・制度的要因(木下直俊) / 第6章 1930年代の欧米各地におけるスタンプ紙幣の法的側面(歌代哲也) / 第7章 ジャン・ボダンの国家の貨幣鋳造権といわゆる“プリコミットメント"理論について(中野雅紀) / 第8章 憲法と法貨 ――アメリカのグリーンバックの合憲性をめぐる司法と政治の関係(大林啓吾) / 第9章 イギリスのピックス裁判にみる貨幣鋳造の法的規律 ――金属貨幣をめぐる国王大権と議会制定法(岩切大地) / 第10章 明治初年期における“紙幣"の法秩序 ――断罪無正条条例の規範形成機能(田久実) / 第11章 貨幣とは何か ――私的/非政府のコミュニティにおける“お金"(林康史) / 国際書院
2016年9月
(3600円 + 税)
現代における貨幣制度は経済におけるグローバル化がすすみ、国家とコミュニティーの関係が貨幣制度を介して再考される。本書では貨幣と通貨の構造を理論面、制度面から究明する。

第12巻 災害と法

小柳春一郎 編
はしがき(小柳春一郎) / I 前近代社会における災害と法  1 前近代日本における災害と法・政治:「徳政」の理念をめぐって(松園潤一朗) / II 現代日本における災害と法  2 災害復興における国家と私権のゆくえ: 東日本大震災とアジア (金子由芳) / 3 大規模災害と借地借家:罹災都市借地借家臨時処理法廃止と「大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法」制定(小柳春一郎) / 4 東日本大震災を契機とする日本の婚姻法制度への示唆(宮本ともみ) / III 国際社会の中での災害と法  5 インドネシア・アチェ津波被害支援から東北大震災津波被害者支援まで: プロセス相談と促進型メディエーションによるコミュニティーの創造と再生の可能性(稲葉一人) / 6 国際裁判における文化的考察の意義:プレア・ビヒア寺院事件を例として(高ア理子) / 国際書院
2014年11月
(3600円 + 税)
災害対応に当たって公的制度のみならず、歴史における災害、災害と民事法、災害と司法制度、国際的文脈での災害などさまざまな角度からの法的研究である。

第11巻 加害/被害

堅田剛 編
加害/被害―「加害」と「被害」の逆説(堅田剛) / 第1章 刑事法の領域から考える「加害/被害」――被害者の権利・利益重視の時代における刑事司法(安部哲夫) / 第2章 命は金で買えるのか? ―――中国における犯罪被害者への金銭的賠償による死刑免除の是非をめぐって(王雲海) / 第3章 明治前期の処遇にみる国事犯(兒玉圭司) / 第4章 公害・環境被害における加害と被害――司法的解決に関する政策学的考察(永松俊雄) / 第5章 水俣病空白の十年(細谷孝) / 第6章 「加害/被害」を大学の中から考える――キャンパス・ハラスメントとデートDV(堀口悦子) / 国際書院
2013年5月
(3600円 + 税)
テーマの「加害/被害」の関係がなぜスラッシュなのか。 公害事件など関係の逆転現象さえあるように見える事態がある。 いま法的な責任の所在について足場を固める必要性を説く。

第10巻 夫婦

屋敷二郎 編
夫婦―法文化からのまなざし(屋敷二郎) / 第1章 一夫一婦制と「憲法の目的」(内藤淳) / 第2章 ポリガミーと離婚の自由に関する近代ヨーロッパの思想―グロティウスからミルの批判者まで(森村進) / 第3章 セクシュアリティと夫婦の系譜学―ミシェル・フーコーにおける統治と倫理(関良徳) / 第4章 ランゴバルド諸法における未成年女子の婚姻規定―リウトプランド王付加勅令12条を中心として(鈴木明日見) / 第5章 江戸幕府の婚姻法―宝暦13年法を中心に(稲垣知子) / 第6章 明治前期の民事判決例にみる妾の法的地位(村上一博) / 第7章 穂積重遠の「条理」解釈―大正4年1月26日大審院民事連合部判決「婚姻予約有効判決」からの一考察(小沢奈々) / 第8章 清代における夫婦関係の成立と解消の秩序(森田成満) / 第9章 中国の「一人っ子政策」と世代交代(浦上清) / 第10章 韓国における同姓同本禁婚制度の廃止と家族法秩序(田中佑季) / 第11章 協議離婚における財産分与交渉の問題点―実務の現場から(山本直哉) / 第12章 進化の袋小路、あるいは夫婦財産法への比較法史的展望(屋敷二郎) 国際書院
2012年8月
(3600円)
変容する社会、国家を背景に見据えつつ、 「夫婦」の法文化を法哲学・法制史学・比較法学・法実務などの 多元的なアプローチによって意欲的に探求する。

第9巻 生と死の法文化

眞田芳憲 編
生と死の法文化(眞田芳憲) / 第1章 生命操作の時代における科学技術と宗教の相互関係(ホアン・マシア) / 第2章 シャリーアの包括性について―生命への信奉を超える法体系(奥田敦) / 第3章 自殺の比較法文化論―イスラーム法を基軸として(眞田芳憲) / 第4章 啓蒙主義的刑事法改革における民事死の位置づけ(藤本幸二) / 第5章 リベラル優生主義をめぐる生命観の相克―生殖細胞遺伝子工学を支持するものと押しとどめるもの(櫻井徹) / 第6章 終末期における治療中止と刑法(古川原明子) / 第7章 DV殺人はファミリー・バイオレンスなのか(宮園久栄) 国際書院
2010年6月
(3400円)
「いのちの尊厳」をめぐり法文化論的探求をおこなう。 いのちをめぐる、歴史の中の、医療技術・いのちの尊厳、 家族崩壊の中での、それぞれの「生と死の法文化」を追究する。

第8巻 名誉の原理―歴史的国際的視点から

王雲海 編
名誉の原理(王雲海) / 第1章 名誉の喪失と回復―中世ヨーロッパの法文化から(岩波敦子) / 第2章 名誉と規律化―日本近世の法文化(谷口眞子) / 第3章 インターネットと名誉毀損―コモンロー諸国の対応を中心として(ジョン・ミドルトン) / 第4章 人権分類論再考―法実証主義的地位理論から現代討議理論における基本的人権の置付けの変容について(中野雅紀) / 第5章 少年法61条と名誉・プライバシー(京明) / 第6章 中国の名誉権保護に関する憲法論的考察―日本からの示唆(洪英) / 第7章 中国刑法における公民の名誉権の保護―立法規定と司法実践の面から(付立慶) / 第8章 中国における陪審制と人民の名誉・権利(馮春萍) / 第9章 同じ死刑、違う不名誉(王雲海) 国際書院
2010年5月
(3600円)
法文化という独自の視点から「名誉と不名誉の法的原理」の追究を通して、 その裏に潜在している「文化的原理」および世界各地の「精神」を明らかにし、 よりよく共存する世界の方途について学問的示唆を提示する。

第7巻 法の担い手たち

佐々木有司 編
法の担い手たち(佐々木有司) / 第1章 ローマ元首政の始まりと法学者―ラベオーとカピトーの軌跡から(林智良) / 第2章 コバルビアスと普通法(佐々木有司) / 第3章 イギリスの議会主権におけるダイシー伝統の部分的変更の兆し―ソバーン事件判決の意味するもの(加藤紘捷) / 第4章 市民による無償の法的助言活動は禁止されねばならないのか ―ドイツの「法的助言法 Rechtsberatungsgesetz」および「法的サービス法 Rechtsdienstleistungsgesetz」の問題点(荒井真) / 第5章 譜代藩内藤家の藩主と「御條目」―草創期の家中法度の分析を手がかりとして(神崎直美) / 第6章 法律の制定―内閣立法と議員立法(浅野善治) / 第7章 企業法務における法の担い手(大隈一武) / 第8章 法の担い手の特殊日本的存在形態―"擬似的法の支配"の担い手としての準法曹(萩原金美) / 第9章 清代の監獄運営―囚人の衣食の問題を中心に(喜多三佳) / 第10章 解釈か改正か―香港基本法解釈のメカニズム(廣江倫子) / 第11章 イスラーム法と執行権力―19世紀イランの場合(近藤信彰) 国際書院
2009年5月
(3800円)
法の形成・運用に携わり、これを担う人たちを法文化現象として捉える本書では、 地域的・時代的に種々の法文化における多彩な「法の担い手たち」を取り上げ、論じている。

第6巻 ネゴシエイション―交渉の法文化

林康史 編
ネゴシエイション―交渉の法文化(林康史) / 第1章 英国の金融法制度の立法および改正におけるネゴシエイション(林康史) / 第2章 EUの「諮問会議」と「政府間会議」に見る交渉(田中俊郎) / 第3章 暴力・支配・交渉―フェミニズムとDV防止法をめぐる問題(関良徳) / 第4章 河川水資源の配分をめぐるネゴシエイションの諸相 (岡本 雅美) / 第5章 条約体制と交渉行動―近世初頭のオスマン権力とエジプトのヴェネツイア人領事(堀井優) / 第6章 交渉の場としての調停―19世紀プロイセンの勧解人Schiedsmann制度を題材に(松本尚子) / 第7章 交渉エクササイズによる文化差測定の試み(奥村哲史) 国際書院
2009年6月
(3600円)
法の実効性を支える法意識・コンセンサスと相互に影響を与え合うネゴシエイションを法文化から捉えなおす作業は、 法意識・コンセンサスが情報の影響を受けやすいことから、情報の時代の今日における意義は大きい。

第5巻 コンセンサスの法理

津野義堂 編
コンセンサスの法理(津野義堂) / 第1章 ヘーゲルによる契約法の基礎づけ(ペーター・ランダオ) / 第2章 ヘレンニウスに与える修辞学書2.13.20と キケローの発想論2.22.68における合意PACTUMの定義 (フリッツ・シュトゥルム) / 第3章 「合意は守らなければならない」と「合意からは訴権ではなく抗弁が生じる」 (田中実) / 第4章 イギリス契約法におけるコンセンサス(北井辰弥) / 第5章 無償住居提供のコンセンサスの法的拘束力(森光) / 第6章 引渡の正当原因IUSTA CAUSA TRADITIONISにかんするコンセンサス(宮坂渉) / 第7章 コンセンサスのオントロジー(津野義堂) 国際書院
2007年7月
(3600円)
本書は、キケロー・古典期ローマ法・イギリス契約法・無名契約・ 引渡の正当原因・典雅法学・ヘーゲルの契約論・婚姻・所有権移転 におけるコンセンサスの意味を明らかにする。

第4巻 法と身体

森田成満 編
法と身体(森田成満) / 第1章 進化生物学と法(内藤淳) / 第2章 イスラーム法における人間の身体と内面―ラマダーン月のサウム(斎戒)から(奥田敦) / 第3章 自己・所有・身体―私の体は私のものか?(高橋文彦) / 第4章 王の身体・法の身体―試論(屋敷二郎) / 第5章 犯罪人類学と人種―ロンブローゾにおける日中認識(清水裕樹) / 第6章 身体刑Leibesstrafeと生命刑Lebensstrafeの連続性と非連続性(藤本幸二) / 第7章 清代における医療提供の仕組みと違法な治療をなした者に対する処罰(森田成満) 国際書院
2005年9月
(3600円)
生物進化と法、イスラム法における身体と内面、自己・所有・身体、 王の身体・法の身体、犯罪人類学と人種、 身体刑と生命刑の連続性と非連続性、清代の医療提供の仕組みなどを論じ、 身体との関連で法を見る有用性を考えてみたい。

第3巻 法文化としての租税

森征一 編
法文化としての租税―福澤諭吉の酒税論につなげて(森征一) / 第1章 ビザンツ帝国の徴税実務と修道院―修道院文書に見られる税の査定と特権構造(大月康弘) / 第2章 「戦争が戦争を養う」―軍税と近世ヨーロッパ(鈴木直志) / 第3章 戦後税務行政の形成とGHQ―ハロルド・モス氏の貢献(小柳春一郎) / 第4章 勝てない税金裁判とその変化(三木義一) / 第5章 現代中国における租税文化と租税犯罪(王雲海) / 第6章 消費課税と租税文化―売上税法起草者ポーピッツの理論とその展開(西山由美) 国際書院
2005年3月
(3200円)
本書刊行の狙いは、視座を転換し、租税を法文化として捉え直し、 租税の歴史の深層に入り込むことによって問題の根源を浮上させ、 21世紀の租税の姿を描くべく法学の新しい地平を開拓することである。

第2巻 市場いちば/しじょうの法文化

加藤哲美 編
市場の法文化(加藤哲美) / 第1章 中世イングランドの週市と法(加藤哲美) / 第2章 中世フランドル南部におけるワイン・ステープルの歴史的意味―13世紀サン・トメールの都市条例を素材として(山田雅彦) / 第3章 人文主義法学のローマ法文解釈と市場原理(田中実) / 第4章 市に叫ぶもの―中国古代の市と予兆(桐本東太) / 第5章 中国の市場経済化と少数民族の法文化―草原の境界紛争と特殊な司法政策(小林正典) / 第6章 市場のインパクトに対する法文化的戦略―メラネシアの交換システムとCompensationを素材として(北溝太郎) / 第7章 イスラームの信仰とスークの経済(奥田敦) / 第8章 市場経済と市場倫理―契約に対する法的規制を中心に(山田八千子) / 第9章 制度としての市場と組織―場から捉えなおす(山下裕子) / 第10章 金融・証券市場における法文化(林康史) / 第11章 米国及び英国における排出枠取引制度の形成と展開―環境の市場化と法文化(越智敏裕・林康史) 国際書院
2003年2月
279頁
(3800円)
市場あるいは交換や取引の背後にある法文化的背景、法文化的意味を探る本書は、 地理的・歴史的にさまざまな角度から市場、市場経済、市場社会などの 概念が持つ深層の意味理解に向けて果敢な挑戦を試みた。

第1巻 混沌のなかの所有

山内進 編
混沌のなかの所有(山内進) / 第1章 ヨーロッパ法史における所有と力(山内進) / 第2章 プーフェンドルフの所有権思想(筏津安恕) / 第3章 清代に於ける民事法秩序の構造再論―特に土地所有権に着眼して(森田成満) / 第4章 古代・中世日本の所有と所有権(斎川眞) / 第5章 明治時代の土地所有権(小柳春一郎) / 第6章 イスラム社会における法と経済―所有システムの観点から(加藤博) / 第7章 東ドイツ地域の共同所有権の私有化―その過程における所有権の金銭債権化(小野秀誠) / 第8章 現代中国における所有と企業―政府と国有企業との法的関係を中心に(周劍龍) / 第9章 株式会社と所有―コーポレート・ガバナンスの側面から(仮屋広郷) / 第10章 所有権の「絶対性」概念の混迷―とくに物権の性質論・物権的請求権論・物権変動論における(七戸克彦) 国際書院
2000年10月
283頁
(3800円)
人と物の関係である「所有」は、人と人との関係のうちもっとも重要な事柄に属してきた。 大きく変わりつつある人と人との関係を前にして改めて「所有」について根本から問い直す。